IPPNW世界大会に参加してみての感想
金沢医科大学三年 本間 理
今回初めてIPPNW世界大会に参加させていただきました。行きの飛行機でのアクシデントもあり、開催地であるインドに降り立ったときには乗客から拍手が沸き起こる状況。インドを訪れることも含め、初めての経験がたくさんあった旅でした。
さて2日目からの参加になった大会では、まず分科会を作って発表している学生たちに驚かされました。僕は「Challenge of Drags for The Poor」という、ドイツ学生が作った分科会に参加しました。つたない英語力でどこまで理解できたかはかなりきわどいところですが、「製薬会社が特許を独占して高い値段で薬を供給している。それによって薬を必要としている発展途上国の人々が苦しんでいるのはおかしい。製薬会社はもっと安く薬を供給すべきだし、できるはずだ。」という想いは感じることができました。海外の学生のプレゼン能力、ディスカッションスキルには驚かされます。自分も海外の人々と意見交流ができるよう、もっと英語を上達させたいと素直に思いました。
3日目のシンポジウムでは、各国の代表者が核兵器廃絶に対する考えやそれに向けての具体的な活動を発表し、意見が交わされました。核兵器問題に留まらず、インドの貧困状況を切実と語ったり、キューバの医療支援の話なども発表されました。特に印象に残っているのはキューバ人の活動報告です。災害が起こった国に無償で医療支援を行っているという取り組みはすごいと思います。せっかく参加しているのだから、日本も唯一の被爆国として何か他の国々に情報を提供できるようなことはないのだろうか、と考えました。それができればもっともっと積極的な大会へのコミットができるはずなので、これからの課題にしたいと思います。
余談ですが、インド人が発言するときは必ずと言っていいほどガンジーが引き合いに出されていました。やはりそれだけ人々の心にガンジーの平和に対する思想を賛美する気持ちがあるのでしょう。それは全種類の紙幣に彼の顔が印刷されていることからも想像できます。
今回の参加で思ったことは、核兵器というのは人体に修復不能なダメージを与える実際問題であると同時に、平和に対する脅威としての象徴であるということです。大会の内容は環境、格差、貧困、差別など人の健康に害を与える様々な問題を取り上げています。「戦争が起こらない」=「平和」という構図は成り立ちません。以前は核兵器廃絶というのが人の健康に被害を与える最大の脅威であったのが、今日に至るまでに他にも考えるべき物事が出てきたということなのでしょう。
医学者や医学生が集まる、このような世界規模の大会は他に知りません。
二年後のスイスでの世界大会もぜひ参加してみたいと思いました。その前に今年は石川県で反核医師の会のつどいが行われるのでそちらにも参加する予定です。
今回は皆様のおかげで貴重な経験をさせていただきました。ご協力に感謝申し上げます。ぜひ今後の活動にもこの経験を生かしていきたいです。